シルバーブラッド 眠らぬ夜に
もしかしたら、もう何も起こらないかもしれない。

なんて、思うだけ無駄だろうか。

浩之は足早に今下りてきた坂道を登りだした。

けっこうな傾斜と日頃の運動不足のせいで、すぐに息があがった。

情けない。

『こんなので、「あと一人」に太刀打ちできるんだろうか』

人影が飛び出してこないか注意をはらいながら、林を抜け、小屋に戻った。

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