シルバーブラッド 眠らぬ夜に
これならすぐに火がつきそうだ。

浩之は数本を腕に取り、暖炉の中に、綺麗に井の字型に組み込んだ。

木のそばに古びた新聞紙が何束も置かれてある。

一つ手に取る。

それをばらし、木の下に作った空洞に、一枚を丸めて突っ込んだ。

ポケットのマッチを取り出して、小さく擦る。
 
硫黄臭い匂いが鼻を突いて、火がついた。
 
それを新聞紙に燃え移らせる。
 
すぐに燃え上がった新聞紙の火が、木を焦がしていく。
 
浩之は床に腰を下ろして、火の燃え移っていくさまを眺めた。
 
こんな状況だっていうのに、火を見ていると落ち着く。
 
落ち着きついでに、ネクタイを外して放り出し、シャツのボタンを外した。

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