シルバーブラッド 眠らぬ夜に
 オレンジがかった光が、床に積もったほこりや、無数のタバコのねじ込まれた灰皿を排除して、部屋を幻想的な雰囲気に浮かび上がらせている。

浩之は、コートを床に投げ出し、スーツにしわが刻み込まれるのもかまわずに、ベットに横になっていた。

窮屈なネクタイの結び目に指を突っ込んで、緩める。

ネックレスのトップが、緩んだ襟元からこぼれ落ちる。

何の石か分からないけれど、深く沈んだグレーっぽい石だ。

そいつがプラチナの台に乗っている。

おばあちゃんの形見の品だ。


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