追憶 ―箱庭の境界―
○プロローグ○

○プロローグ○


自分が感情を無くしたのは、
一体何時の事だろうか。

心を奪われたのは、
何故だったろうか…。


心を奪われるという事は、
その「記憶」をも奪われる事だと聞いた。


「中身の無い体」


ならば、
何も生み出さないはずの我の中に在る「これ」は、一体何だというのだろうか。


与えれた永遠の中で、

我が持っていたのは、
頭の中で繰り返される「情景」。


ただ、流れていく情景。

何かも解らない。
誰の情景かも解らない。
それを見ても何も感じない。

それが、「定め」…


だから、

感じない、はずだった。


解らない、

そのはずだった。



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