LOVEファイト!
「…あれ? 見失ってしまいましたか?」

「おかしいな…」

声は若いな。

塀は少しボロかった。

おかげで穴から道路側が見える。

こっそり見ると、制服を着た男子生徒が二人、辺りをキョロキョロと見ていた。

あの制服は…見覚えがある。

この地域はヤクザの力が濃く、警察さえも何もできないぐらいの力を持つ。

そのヤクザが経営の一部として、学校を作った。

よりにもよって、小等部から高等部までのエスカレーター式。

入学資格はとにかく、力があればいい。

それだけで学費免除で、卒業は単位制なんだから、ここらの不良は喜んで入学する。

その高等部の制服を着ているのが、尾行してきた学生だ。

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