Salvation 〜救い〜
それから

数日後

あたしは

まず

吉沢俊樹の育った

児童施設に行ってみた



そこは

彼のアパートや

あたしのNPOのオフィスと

同じ区内にある

比較的小さな

施設だった



彼は

9歳で母親と死別して

ここに来るまでも

この区内で育っていた




ずいぶん狭い範囲で

生きてきてるんだな



と あたしは思った



吉沢俊樹のことを

聞きたいというと

施設の職員さんが

丁寧に応対してくれた



『トシちゃんのことですね 何か問題でもありましたか?』



と 少しだけ顔にしわが目立ち始めた

優しそうな女性が

逆に問いかけてきた



いえ そういうわけではないんです



わたしは諸事情から保護司の代理を

することになりましたので

彼のことをいろいろと

うかがっておいたほうが

よいかと思いましたので・・・



『そうですか・・・ じゃあ なにからお話すればいいのですか?』



その女性は静かな口調で話し始めた
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