いくつかの夜
『ありがとうございました。』


無意識のままお金を払い、花束を抱えた後輩に引っ張られて歩いていた。


「ごめん。ちょっと先行ってて。」


「はぁい。」


酔っ払った後輩は、素直に他の同僚の元へ行ってしまう。

花束をしっかりと胸に抱えて。


「ちょっと野暮用。」


少し後ろを歩いていた同僚にだけ声をかけ、今来た道を戻った。


心臓が破裂しそうなくらいにドキドキと波打つ。


すぐにたどりついた花屋さんの店先には、もう誰もいない。

心臓の音はますます高く波打つ。


【カントリーパパ】


店の名前。


【カントリーママ】


が2号店。

つまり、ここは1号店。

店長がパパだから。

つまらない理由だって笑ってた。


『私の店だと、カントリー娘?やだ、パクったみたいじゃん。』


本気で嫌がって。




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