倉庫の王様
雨上がる
【サチ】



大雨と強風でまるで台風みたい。



「早く来てくれないと父ちゃん仕事が…」

「待ってるって言ったの自分じゃん!!」

「だって今日しか時間取れなかったんだもん!!飛行機はムリだから新幹線で行かなきゃ…。サチ、ひとりで平気?」

「子供じゃないんだから」



父が今から出張にいかなければならない。



めったにないことだけどたまにひとりになるあたし。



でも今はそんなことより先生が来ることで頭がいっぱい。



ピンポーンと鳴ったインターホンに出るとずぶ濡れの先生がモニターに映った。



「あっ、今開けます!!」

「じゃあ向かいます…」



元気なさそうなのもムリはない。



この強風じゃ傘なんて役立たずだよ。



「今来るからタオル用意するね!!」

「早く早く~!!」



時間が遅れて焦ってる父とは正反対で、あたしの心はウキウキ。



学校の外で先生に会える…。



「こんな時間になってしまって申しわけありません」

「先生、タオル」

「あぁ、ありがとう龍ヶ崎」



ササッと頭を拭いた先生は玄関先で父と話しを始めた。



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