倉庫の王様
決断が出せないまま授業、授業、授業…。



「なに悩んでんの?」

「お前勘よすぎ…」

「遊和が顔に出すんじゃん」

「なんだかなぁ~…。どうすりゃいいんだか…」

「じゃあ久しぶりに飲みに行こうか。和馬のクラブ」

「よし、息抜き!!」



自分のことでいっぱいいっぱいだった。



サチを蔑ろにしたつもりはないけど…。



あんなに恐ろしいヤツがそばにいたことなんか二の次になってて…。



俺はこの上なく後悔する。



それは2月直前の雪の日。



珍しく大雪が降ったせいで一部の地域が停電。



サチのマンション付近だとテレビで見てすぐに電話をかけた。



「はい」

「は?」

「あの…今エレベーターに閉じ込められちゃってて。サチが電話に出れる状況じゃないんですけど」



父じゃない男が出た電話。



関係がバレると思ってすぐに切ってしまった。



今のは誰だ?



あの少しなまりのある話し方…。



どうして…高橋といんの?



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