倉庫の王様
険悪なあたしと先生の無言の空間。



ひたすら雑誌を読んでる先生と頭に入って来ないテレビを見つめるあたし。



もう帰ろうかな…。



先生が出してくれた手付かずのオレンジジュース…。



礼儀として一気に飲み干してから抱きしめてたクッションをソファーに戻して立ち上がった。



バッグを持って歩き出した時。



「帰んのかよ」

「今の先生と一緒にいたくないもん…」

「ただのヤキモチじゃん」

「怒ったくせに」

「はいはい、俺が悪かったって」



卑怯…。



そんな時ばっかり大人ぶって先に謝るんだ…。



あたしが余計子供みたいじゃん…。



「来年は俺と全部行ってくれる?」

「絶対ヤダ…」

「ごめんって。ほら、おいで」



悔しい…。



完全に先生の勝ち…。



大人ってずるい…。



「仲直りしようか」

「しないもん…」

「よし、寝て忘れよう」

「ギャッ…」

「お昼寝~」



無理矢理ひざ枕…。



先生に勝てる気がしない…。



< 443 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop