倉庫の王様
校内で先生を見かけることはあると思う。



だけど大丈夫。



あたし達は一緒にいる…。



心は離れない。



「で?このうなだれてる少年は失恋でもしたのかな?」

「慰めてよ、羽賀チャン…」

「それ、俺の得意分野だよ。じゃ、コレ遊和に渡しておくから」



ペコっと頭を下げて倉庫を後にした。



もうここに来ることはないかもしれない…。



だけど必ず…先生と戻れるって信じてるから…。



教室に戻ってみんなに訳を話した。



別れた理由と別れた意味。



これからのことと、あたしの気持ち…。



泣いてくれる友達、元気付けてくれる友達…。



みんな大切な友達…。



「辛くなったら何でも言えっ…」

「うんっ!!みんな大好きっ!!」



昨日、あの後、先生はいつまでもあたしを抱きしめてた。



離したくない気持ちがたくさん伝わってきて…。



泣けるだけ泣いた。



しょっぱいキスも優しい先生のキス…。



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