倉庫の王様
10分なんて短い。



もっと抱きしめさせろ…。



もっとキスしたい。



「先生…。早く卒業するからね?」

「あ、あぁ…」

「卒業式の日、あの倉庫で会いたい」

「わかった。なぁ、もう一回抱きしめたい…」

「ちょっとだけならいいよね?少しだけ…」



7分くらい、ずっと抱きしめ合ってた。



離したくないのに…。



「それじゃあこれからも頑張りますっ!!」

「おぅ、頑張れよ」

「見ててね?いい女になるからっ!!」



早く大人になっちまえ。



早く俺んとこ来い。



早く…一緒にいよう?



心の中でそう言って、理事長室から出て行くサチを見送った。



大好き、サチ。



「理事長、お電話です」

「はぁい」



もうすぐ俺が理事長になってから1年らしい。



初めて送り出す卒業生達…。



卒業式には泣かないようにしなきゃ…。



サチにカッコ悪いとこなんか見せてやんねぇんだ。



待ってろよ?



迎えに行くから。



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