WILD ONE ~キミに夢中~
“ねぇ……信じさせてよ──”



表面上は平和な学校の昼休み、

大遅刻してやっと現れた目の前の背中に私は必死で怨念を送ってやった。

「──んだよッ!背中にヤな汗かくじゃねぇか!!」

とたまらなくなったゴリラが振り返るまでに要した時間はたぶん十分ぐらい。

闇討ちよりマシじゃん?

感謝して貰いたいぐらいだよ?

「……あ?まだラブホのチケットが欲しいのか!?」

そんなわけない。

「お前そんな顔してもう愛しのアッキー様とあのチケット使ったんだなッ?」

顔、関係ないじゃん!!

だいたいその“そんな顔”って失礼じゃね?

「さてはアッキーだけじゃなくてブランコにも乗ったんだなッ?」

……繰り出されるのはどこまでも下ネタ。

偉いよね~。

感心してしまう。

「それじゃ、今度は何をする気だ!?あんなコトやこんなコトかッ!」

矢継ぎ早に下ネタを連発する中山に出来るだけ冷ややかな視線を送る。

今日は誤魔化されない。

今日は乗せられない。
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