ラストゲーム
とりあえず被害者の供述をとるため被害者が運ばれた病院に向かった。




「健・・。」




手術室の前で、呆然としている化粧の濃い、派手な女性が一人。




涙で化粧が崩れ、醜さの浮かぶ顔が、事件の悲惨さを増している。




息子が刺された直後の母親に事情聴取。




刑事とは、本当にデリカシーのない仕事だ。



「神宮健君の母親でいらっしゃいますか?」




私は、約10年ぶりに奈央と対面する。




「はい・・。」




消え入るような声で返事をする奈央。




当然、私のことに気付くはずもない。




26になった奈央は、昔の面影を残し、美人ではあるものの、明らかに変わった。



何の悩みも感じさせないやりたい放題のお姫様的存在だった奈央。




現在は、表情から、しぐさから生活の疲れが見える。



時間とは、時に残酷だ。
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