G i f t ~ギフト~
『帰らなかったの?』


「女置いて帰る男がどこにいるんじゃ?」


『そこに居るかと思ったわ』と笑い混じりで話す私。


帰るって言っても車は2台。


お互い自分の車に乗って、結局彼の部屋に戻ってきた私。


彼の部屋に戻ってきてから彼の携帯が震える事はなかった。


電源を切ってたのか用事は終わったからなのかは分からなかったけど・・・。


ソファに座り彼はいつも以上に優しく私の髪を撫でくれて、私も少し甘えて彼に寄りかかった。


彼に髪を撫でられると自分が小動物になったような気がする。


優しくて、彼の匂いに包まって、いつまで経っても私を壊れ物みたいに扱う彼。


私は壊れ物。


強い様に見せかけてるけど本当はすごく脆い。


樹が昔、私に言った事があった。


「お前と俺はガラスみたいに脆い心の持ち主」だって。


どうして樹が脆いのか分からなかったけど。


彼の一言で笑顔になったり、怒ったり、泣いたり・・・。


恋してる人って脆いんだよね。きっと。


今の私の中は彼で出来てる。


心も体も。


明日の朝もきっと雫の音で目が覚める。


今から彼にかけられる魔法が解けない様に・・・彼を放さない様にキツクキツク抱き締めるの。






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