オレんちの兄さん2



家に帰るとすぐに、制服からハーパン、Tシャツと楽な格好に着替えて、オレは台所に立った。


ジャガイモ、ニンジン、タマネギを流し台に置き、冷蔵庫から牛肉を取り出す。

ジャガイモの皮を丁寧に剥き少し大きめに切って、水にさらす。

ニンジンは逆に少し小さめ。


最後にタマネギ。

皮を剥いて半分にし、縦横に包丁を入れる。

それをザクザク切って微塵切りにしていると、ポロポロと涙が落ちた。




ポロポロポロポロ。




拭おうにも両手が塞がっていて拭えない。

結局刻み終えるまで泣きっぱなしで、終わる頃には鼻水まで垂れてくる始末。


オレは、フードプロセッサーが欲しいと切実に思った。






それから夕食を終え、オレはクッションを抱えて一人テレビを見ていた。


――――今日はカレーにした。

量も多めに作ったから、明日の昼もカレーだ。


明日の夜は兄さんと食事に行く日。

今夜と明日の夜とは単純なものをサラッと食べて、夜の贅沢を楽しもうという密かな計画だった。


……だけど。









「ただいまー」




.
< 19 / 36 >

この作品をシェア

pagetop