LLE <短>
to challenge



「せーんぱいっ!」

「何しに来たんだよ」



テッペンにいた太陽も降りてきて、涼しい風の吹き抜ける、放課後のグラウンド。


あたしの足は、やっぱり今日も、先輩目がけて一直線。



「何って、あたしサッカー部のマネージャーですから」

「ふーん。あっそ」

「もう!忘れたんですか。先輩が誘ってくれたんですからね!」



先輩は、いくらムスッとした顔をしたって、絶対に、あたしのことを無視したりしない。



「はぁ……お前を誘った俺がバカだったよ」

「何がですか?」



ため息交じりで、カタチのいい目を細める先輩に、あたしはワザと首を傾げて、惚けてみせる。



「熱心なサッカーファンだと思ってたのにな……ったく。スッカリ騙されたよ」

「あたし、熱心なサッカーファンですよ?“先輩のする”サッカーのファンだもーん」

「はいはい」



本日数回目となる愛の告白も、意識半ばで、適当に流されて、

先輩は、広いグラウンドの真ん中に走り去っていってしまう。



あたしの一番は、言うまでもなく先輩。

だけど、先輩の一番は、相も変わらずサッカーだ。



伸ばした手は、まだまだ当分、届きそうもない。



あぁ……

遠いなぁ。


こんなにも遠い。



遠いよ、先輩――

< 15 / 51 >

この作品をシェア

pagetop