-roop-
天国と…地獄…
その言葉が私の脳を刺激した。
「…本当に…在るの…?」
目は合っていっても焦点は合っていない。
そんな状態だったが、彼女は、私の思考力が次第に戻ってきているのを感じていた。
「えぇ…もちろん。」
限界にまで縮んだ煙草をまた手の平で握りつぶすと、彼女はまたポケットから赤い煙草の箱を取り出した。
箱はもうくしゃくしゃで、彼女が取り出した煙草が最後の一本だった。
空になった箱をさらに潰し、再びポケットに押し込む。
そして、最後の一本に愛おしむように火を燈し、ゆっくり煙を吐いた。
「貴方は…地獄ってどんなところだと思う?」
自らが吐き出した灰色の煙に目を細めながら、彼女は問いかける。
地獄。
私の目の焦点が、ふと彼女の瞳孔を捕らえた。
「地獄…。」
私が考えている間、彼女はまるで、簡単なクイズを一生懸命考える子供を見守るように
ゆったりと煙草を吹かし続けた。
「地獄って…」