-roop-



胸の奥が…押し潰される…。


誠さん…泣かないで…




…泣かないで……っ







「千…夏……?」


名前を呼ばれて我に返る。


「……っ!」








無意識のうちに

後ろから誠さんを抱きしめていた。








ゆっくりと顔を上げれば

驚いた表情で振り返っている誠さんの顔。

あまりにも近い顔。

初めて知る肌の温もり。



…背中の広さ。



恥ずかしさで身体がカァッと一気に熱を帯びたのが分かった。


「…ごっ…ごめんなさい…っ!!」


私は慌てて誠さんの身体から離れた。



それでも…

腕に残る抱きしめた感覚に胸が締め付けられる…。


心臓が…うるさいくらいに音を立てる…。


狼狽したまま距離を置く私をじっと見つめる誠さん…。


「千…夏……」


「わ…私……何して……」



どうしよう

どうしよう…私…!



「…ごめんなさい!」


「千夏!!」



私は部屋を飛び出した。
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