-roop-

「バカやろ…っ……お前……俺がお前なしで幸せになれるわけ…ないだろ…?」


クシャ…

耳元で紙を握り締める音がした。




--どうか幸せであって下さい--




「手紙……読んでくれたの……?」


「…何だよ…最後のあれ……勝手に……真似して…っ……」


私は少し笑って、震える背中をギュッと…抱きしめた。



「なんか……嫌な予感がして…家に電話してもお前出ないし……っ……」


誠さんは私の肩を強く掴んで、身体を引き離す。


そして痛いくらいに私の瞳を見つめながら言う。




「…千夏…言ったよな俺…今のお前も…愛してるって……」



「……っ……」


たまらず私は視線をそらした。



「……千夏……っ!……ちゃんとこっち見ろよ…!!」


誠さんが搾り出すようにそう言いながら私の肩を強く揺らす。



見れない…見れない……。

貴方の想いはあまりにも真っ直ぐすぎて…

真っ直ぐにそれが…千夏さんに向かっているのが分かるから……




分かるから…



「……千夏っ…千夏…頼むから…頼むから逃げないでくれっ………」



誠さんは私の両肩を掴んだまま、何かをこらえるように俯いた。


私は涙をこらえながら…必死に言葉を紡ぎ出す…。
< 261 / 293 >

この作品をシェア

pagetop