空色幻想曲
 ──あの賭けのせいだ。絶対に。

 俺が逃げ隠れるものだから、日課をサボってでも見つける作戦に打って出たんだろう。行方を暗ませて親衛隊長の俺に捜させれば、自ら捜しに行く必要もない。かくれんぼの鬼が逆になったわけだ。

 ……考えたな。

 しかし、本当の理由を知ったら俺も説教されるんだろうか。あのジャジャ馬姫が青ざめるとはどれほどのものだろう。俺の前では『優しい気さくなおじいちゃん』というイメージだったから、想像がつかない。

 一人考えを巡らせ、薄ら寒くなる。

「では、頼んだぞ。リュート」

 俺はぎこちなくうなずくことしかできなかった。

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