空色幻想曲
     ◇ ◇ ◇

~創世神話~

 遥かに遠い昔、世界は何もなかった。天地の存在すらも。
 ただ混沌という“無”だけであった。

 あるとき神が現れ、
 空を創り、
 海を創り、
 大地を創り、
 地上界ができた。

 この神こそが【創造神ウォルス】。

 最初の神にして、全てを統べる神。


 次に現れたのは【時の神タイン】と【変化の神メルフォーゼ】。

 時と変化が“存在”の概念を生み出し、世界に初めて生命が誕生した。

 新しい生命の誕生を喜んだ【愛と美の女神ラヴィナ】は、生物にこの世で最も美しい“愛”を与えた。

 そして【不動の神アブスティッド】は、その美しさが消えぬよう愛を永遠のものとした。

 次に現れた【感情の女神リーン】は、愛以外の感情を創り、豊かな心を生み出した。

 また、世界にさらなる発展を望んだ【知性の神セルフィッシュ】は、生物に理性を吹きこんだ。

 こうして、ヒトの祖となるものが創り出された。


 しばらくして、神々の創りしヒトの住まう世界に“大いなる災い”が降り注いだ。
 それは、善の神々と敵対する【魔神】の仕業だった。

【闘神ライディーン】は、ヒトに【魔神】の支配に対抗する力を授けた。

 けれども戦いは激化し、たくさんの生命が奪われた。

 見かねた【守護神ガーティー】が、ヒトに護りの力を与えて争いを鎮めた。

 後に残されたのは、

【魔神】に支配された者と、
【魔神】の支配に打ち克った者。

 前者は、【正義の神レイフィル】の裁きにかかり、

 後者は、【慈愛の女神ティルネシア】に愛され、癒しの恵みを受けた。

 最後に現れたのは十二番目の神【冥王神シード】。

 戦いで生命力が尽きた者を浄化し、“死”と引き換えに生まれ変わる魂を創り出した。
 ヒトは、死んでは生まれ変わる“人間”となった。


 ──そして、【創造神ウォルス】から【冥王神シード】まで、あわせて十二柱の神によって創られた世界を

“地上界ウォルシード”と呼ぶ──……


   ウォルス聖典
   『創世之章・十二神』
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