空色幻想曲
 頭上から降り注ぎ始めたのは……女神の涙だろうか。

 むせび泣きから間もなく大粒の号泣に変わり、俺を責めるように叩きつける。やがて、冷たい涙を含んだ衣服がべったりと重く貼りついた。

 十字架を背負わされているかのように。

『マゾクナンカ ネダヤシニシテヤル』

 耳にこびりついた声が鼓膜の奥底にまで届いて三半規管を狂わせる。(くら)む頭を抱えるように右手で顔半分を覆った。

 うずく、傷痕。


 それが

 君の

 望みなら





 俺は……


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