空色幻想曲
 やがて、大きな馬のいななきが旅立ちを告げた。

 今、ゆっくりと、レグロアの町に向けて走りだす。
 遊びじゃない、と自分の心を律してみても自然とほほがゆるんでしまう。

 それはエリーゼも同じみたいだ。白い視界のまぶしさも忘れて流れる窓辺に張りついている。色が見えない彼女にも、映る景色はきっと鮮やかなんだろう。

 だって“初めて”なんだもの。

 初めての視察。
 初めての任務。
 初めての場所。
 初めての外の世界。

 吹きこむ風に期待をあおられて──

 いざ、初めての冒険へ!


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