空色幻想曲
 正式には『国王直属(こくおうちょくぞく)巡検騎士(じゅんけんきし)』。

 カンタンに言うと、王の代わりに国内外を視察する騎士のこと。王が足を運びにくい目の届かない場所まで行き、情勢を伝えるのが仕事だ。

 またの名を──“国王(こくおう)千里眼(せんりがん)”。

 今の王はお母様だから女王直属と呼ぶほうが正しいけれど、本来フェンネルは、亡くなったお父様の騎士。
『女王の代わりをするお父様=国王』とみなして国王直属という肩書がついた。
 だから、どこの団にも隊にも所属していない。

「『巡検隊(じゅんけんたい)』がなかったか?」

「ああ、巡検隊ね。あるわよ。でもフェンが隊に所属してるわけじゃないの」

『巡検隊』は、巡検騎士の仕事を手伝うために作られた。
 王の命令ではなく、『完全にフェンネルの独断で動かせる』騎士隊だ。

 これこそが国王直属の特権だった。

 だから巡検隊に所属する騎士は『巡検隊士(じゅんけんたいし)』と呼び、巡検騎士とは区別される。
 飽くまでも国王直属の特権を持つのは、フェンネル一人だけ。

 これは(くらい)でいうと、騎士の中で一番えらい将軍と同格になる。
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