ガンバレ、男子!

「なあなあ、陸。あれやろうぜ、あれ!」

祭りなんて久しぶりだった。特に、友達と来たのなんて、何年ぶりだろう。

俺たちは、ヨシが聞き込んできた、ちひろたちの待ち合わせ時間よりも、早めに待ち合わせていた。

折角だから、ちゃんと遊ぼうぜ、ということになったのだ。祭りなんてとバカにしていたけど、久々に来てみると、結構面白かった。

啓太が、金魚すくいを始めていた。腕まくりをし、本気モードだ。

観察していると、かなりの腕前だった。一匹、また一匹と、出目金やら良さげな金魚を次々と取っていく。店の兄ちゃんも、ちょっと青い顔だ。

「あ~~~。破れちゃった・・・・。」

5匹すくったところで、啓太の紙は破けた。

「ちぇ、もっといけると思ったんだけどなー。・・・あれ、みんなは?」

「ん?ああ、やきそば買いに行ったよ。啓太の分も買ってくると思う。」

啓太は、金魚をビニールに入れてもらい、嬉しそうに覗き込んでいた。

「金魚って、可愛いよなー。待ってろよー。うちに帰ったら、大きい所に移してやるからな。」

愛おしそうに金魚に話しかける啓太を、俺は呆れて見ていた。

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