ガンバレ、男子!
うちで弟たちを世話することはあっても、世話して貰ったことなんか、もう記憶に無かった。
小さい頃から、「お姉ちゃん」だったから、甘えることもしてこなかった。それを当り前だと思っていたし、別に不満にも思ってなかった。
でも。
けど。
世話されるのって、ちょっと嬉しい…。
「よし。じゃあ、テーピングしてみるけどいい?」
頷くと、手際良く進んで…あっという間に終わった。どこをどうしたのか分からないけど、全く痛く無かった。テーピングは、鼻緒を直す以上に、慣れているようだった。
「終わったよ。履いてみられる?」
陸に促され、恐る恐る履いてみると、痛くなかった。歩いても平気なくらいだった。
「歩ける!すごいね、ありがとう!」
「…うちに帰ったら、すぐテープを取って消毒するんだよ」
陸が、何故だか赤い顔で言った。不思議に思って陸の視線を追うと、…私は無意識に陸の手を握っていたらしい。
慌てて、放した。