禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
■離れゆく距離■
*************


神楽は何を考えてるのか?



あの母親を同じ家に住まわせるなんて…。



じいやから聞いたとき、耳を疑った。



神楽がそんな事を許すなんて…。



その真意を聞きたかった。



それに、母親が引き取る予行演習みたいにも思えて。



神楽のあの背中が忘れられない。



「神楽は?」

「多分、書斎にいらっしゃるかと…。」


「ありがとう。」



引き剥がされていくかのように、心が痛んで。

< 100 / 341 >

この作品をシェア

pagetop