禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「まさか?」


「まだ、付き合ってはいないよ。そういうのは、今はしたくないから。」



「なんだ、てっきり英里奈と付き合ったのかと思った。」



そっちの事に関しては、肩を落としちゃう。



あたしの知らない所で、会ったりしてるんだし。



付き合っちゃえばいいものを…。



「…色々と事情がね。」



フッと鼻で笑った。



「ふ〜ん…事情ね。」



今まで遊び捨てた女が、報復してくるとかかな?



それだったら、英里奈が危ないし。



宮埜と一緒にいれば、理由も分かるかな?



自分の事なんか忘れかけてる。



思い出したくないから。



あの、神楽の邪険にした顔。



あたしの存在は何だったの?

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