禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「前向きに検討したんだけどなぁ…。」


チラッと英里奈の顔を見た。


「まさか…。」


英里奈の目が輝いてる。


「さぁね。」


とぼけてみせた。


本当は…


前向きになんか考えられない。


神楽があたしを完全に拒絶したから。


だったら、英里奈の言うように新しい恋でもして、少しずつでも神楽を忘れるしかないかなって。


考えてはいるんだけど。


心がついていかない。


拒絶されても、神楽が欲しくて。


心のどこかで、まだ期待してる自分がいる。


だけど、心配させたくない。

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