禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「なるんだよ。」
母親が苦しがってるのが、悲しいわけじゃない。
今までの苦しさとか。
宮埜や英里奈の涙とか。
全部の感情が涙になって流れてるだけ。
「……残念…ね。…なら…ないわ…よ。…だって……私のお腹には…あなたの…×××…。」
微かに聞こえた最後の一言。
「…ウソだ。」
力いっぱい絞めていた手が。
一気に力が抜けて。
耳を疑いたくなる。
「ウソなんかじゃないわ。」
ゼーゼーと、肩で息をしながら。
放された首元に手を当てて。
ハッキリと言った。