禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
■惰心(だしん)■
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宮埜と晴沢は、一緒に帰らされてた。



トランクの中なんてウソだった。



「誰がそんな所に閉じ込めたと言った?」



なんて、神楽は冷たく鼻で笑ってた。



あたしは冷たい沈黙の続く車で、宮埜の家まで遅れ届けられて。



あたし達の計画は失敗した。



それなのに。



どこか嬉しいあたしがいた。



宮埜の家に着くと、なんだか空気が張り詰めた感じ。



きっと、駆け落ちのことで、みんな怒ってるんだと思った。



だけど、緊張した面持ちのお手伝いさんがあたしを連れてきたのは、大きな居間だった。

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