禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「何か用事があるんだろ?」

「別に…お風呂に入るでしょ?」


「なんだ?お前から言ってくるなんて、どういう風の吹き回しだ?」

「遅かったから…それだけ。」



違う。



本当は、お風呂に入ったら、他の男の匂いが消えちゃうから。



その前に、神楽に思い知らせたかった。



…はずなのに。



いざとなったら、怖くて仕方ない。



もう部屋から出て行こうとしてる。



汗ばんだ手でドアノブを掴んで。

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