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天狗の話

その背に翼を持つ一族

羽の数は生まれ付き決まっていて、その数によって、村での地位も決まっている。

一対しかなければ、生涯皆に奉仕する生活

二対、四翼なら、村の世話役や、仕切り役など。

そして、三対六翼ならば。
村の長。一族の長。

今、一人の幼子が切なく喘ぎながら、長老の膝の上で「変化」を与えられていた。

そして、ひときわ大きく声を上げ、その背に、めき、と翼が姿を表す。
三対の。六翼の。
そう、新しい長があらわれたのだ。

しかし、あまりに幼い長。
長老達は、一対二翼の青年を世話係として、長に付け、幼子が早く大きくなるように、変化を与えるよう指示する。

しかし。

「あなたに振り返ってもらえるようになるにはどうしたらいいの?あなたから与えられる変化なら、耐える。でも、あなたの為に、じゃないなら、大きくなんてなりたくないっ!ねぇ、綺麗になったら、わたしを見てくれる?」
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