DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
細身で軽装の女には似つかわしくないソレに気を取られているウリエルへ向けて上げていた顔。
その真っ赤な前髪が掻き上げられる。
動きを見せた女へと、ウリエルが再び目線を戻すと。
そこから現れた真っ青な目と、まっすぐ視線が交わった。
「……そうか」
目線を合わせて、ウリエルは思い出した。
ディラハンの野営地で起きた昨夜の異変。
どこかの軍隊ではなく、何かの集団でもないとして、それを成しえる可能性を持った単体。
それは自分達なら可能だ。
守護天使、アイアン・メイデン。
そして、現存するアイアン・メイデンは自分達だけではなかった。
もう一人。
そう、もう一人……いたのだ。
女の背にあるものが何なのか。改めて確認して、理解した。