D U S H ! !




「…なんて読むの、その漢字。」


入学して、教室で待機していたとき、突然目の前の席の奴が言った。

…うわ、キンパツ。

奴は金髪のサラサラ流れる髪がとても目立つ奴だった。

ヤンキーか、高校デビューし間違えたのか…


そう考えていると、奴は「だから、名前、なんて読むんだよ」と問い掛けてくる。

俺の苗字は難しい。
面と書いて『おもて』と読む。

「おもて、って読む」

…少しぶっきらぼうだったかな、そう思ったら…


「へぇ〜、オレのがかっこいいかも。ほら、鮎川っていうの、あゆかわね」

「そうなんだ(笑)…」


わかりますか苦笑い。

すると聞いてもないのに次々と自分の自慢ばかり言ってくる。


「オレってさ〜、名前もだけど顔も良くない?」

「…そうだな」

「髪型盛ってなくても顔で勝負できる訳。よかった〜この顔で」

「…そうだな」

「…ていうか、面もまあまあかっこいいよな、ま、オレには負けるけどさっ(笑)」

「……。」


上から目線がうざい。


ヤンキーでも高校デビューした奴でもなかった。

こいつは、ナルシストなんだ。



「オレってさ〜、サッカーやってたんだけど、中3のとき足痛めて辞めたわけ。…で、始めたのが歌とギター。」

「へぇ…じゃあ軽音部入んの?」

「いや、入らない。オレ、バンドやんの、お前、入らない?」





…ひっくり返された。





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