理想と現実の間に




コツコツとヒールと木製の床のぶつかり合う音が響く




「よぉ。メリークリスマス」


カウンターの向こうに座り、パソコンから顔を覗かせるようにして剛が顔を出す。




「まだイブだけどねっ。メリークリスマス(笑)はいケーキ♪」



カウンターの上に袋を置いた



「サンキュー!やったね♪」



なんか結構嬉しそう…



よかった


普通に話せる



あーあ
やっぱりムカつくくらいカッコいい



剛はパソコンの手を止めて、裏からグラスを2つ持ってきてくれた。



そこにシャンパンを注ぐ


いい具合に落とされたライトに反射して


小さな泡が水面に登る



甘いケーキの匂いと


胸を打つREARの香り


そして剛



決して豪華なんかじゃないけど、私にとってはこれ以上ない最高のイブ…



少しだけ神様を信じてもいいかもしれない



だからクリスマスは好きだ。




「「乾杯っ!!」」





< 175 / 191 >

この作品をシェア

pagetop