一秒だけでも・・・


後ずさりをして
段差につまずき倒れかけた。

「おっと!」

私は後ろをむいた。

『・・・お兄ちゃん』

「夕向・・・」

優しい顔と声で私に接するお兄ちゃん。


『なんで?そんなに私に優しいの?
私憎まれて当たり前の人間だよ!
先輩を殺したの私なんだよ!!!
お兄ちゃんだって大事な親友殺されて
私を恨んでるんでしょ?
だったら恨んでよ!!!
憎んでよ!!!』

私はそのお兄ちゃんに当たってしまった。

「・・・夕向
俺はお前を憎んだりしない。
楓がお前を憎んだりするわけないもんな。
楓の親御さんだってそうさ・・・
楓がそんな事するわけないから
お前に優しんだ。
だからお前はもっと
一秒でも永く生きるんだ。」




私はまたお兄ちゃんの中で泣いた。
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