約束
悲しみ



あのあと、どうやって病院に辿り着いたのかは覚えていない。


ただ、私は桃に肩を支えられて、冷たい廊下の椅子に座っていた。


彼が運ばれていった部屋は、処置室の文字がまだ赤く光っている。


涙は出ない。騒いだりもしない。ただ、確実に体が小刻みに震えていた。



病院の夜は長い。一瞬が永遠のよう感じた。


どのくらいたったのかわからない。


赤いランプが消える前に亮太のお父さんとお母さんがやってきた。



「ひかるちゃん、亮太は?!」

「まだ…」


「そう…連絡ありがとう。何があったの?」

「それが…立ち上がった瞬間に突然で…何が起きたかわからなくて。…ごめんなさい」


「謝ることじゃないわ。大丈夫よ。あなた達、旅館に戻りなさい。疲れてるでしょ。」


「…でも」

「明日、朝連絡するわ。今タクシーを呼ぶからね。」


すごく冷静な亮太の両親。

結局私達は、子供でまだまだで、何もできない。
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