Winter bell
「やっぱり寂しい……」


玄関で晴稀を送り出す時、あたしの心は寂しさに襲われた。


彼はクスッと笑って、あたしをそっと抱き締めた。


「自分だけが寂しいなんて思うなよ……」


「あたしだけやん……」


拗ねた口調で言ったあたしに、晴稀が眉を下げて苦笑を零す。


「アホ……。俺だって寂しいわ」


「嘘やん……」


「ほんまやで……。いつも羅夢に会いたいと思ってるねんぞ……」


「晴稀……」


「でも俺らの絆は、そんなに弱くないやろ?付き合ったばっかりやけど、俺の気持ちは羅夢にしか向いてへんから……」


晴稀は体を離すと、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


あたしは笑顔で頷いて、手を振りながら彼を見送った。


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