Winter bell
晴稀の会社の前に着くと、急に寂しくなった。


「晴稀、仕事終わったら……」


「堀川先輩?」


あたしの言葉を遮るように、後ろから甲高くて耳障りな声がした。


晴稀は、どこか気まずそうに口を開いた。


「山本さん……」


「今日出勤だったんですねぇ♪あたしも用事があって来たんです。あっ、一緒に行きましょ♪」


山本さんは満面の笑みを見せ、有無を言わさず晴稀の腕を引っ張った。


「ちょっ、山本さん!?羅夢、ごめん!またな!」


「ほら、早く♪」


晴稀は抵抗しながらも、結局は山本さんに引っ張られて行ってしまった。


何でまたあの子なん……?


あたしは一人、会社の前で不安と一緒に取り残された。


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