Winter bell
夜遅いからとか…。


近所迷惑だからとか…。


そんな事、全く考えなかった。


ただひたすら、子供のように声を上げてワンワン泣いた。


何度もしゃくり上げて、上手く息が出来なくて…。


あまりにも泣き過ぎて、頭が痛くなって…。


すごく苦しくなって、やっと少しだけ落ち着いた。


だけど…


意識は朦朧としたままで、涙も止まらなかった。


握り締めたままの携帯の着信音が鳴らない。


玄関のインターホンも鳴らない。


「晴……稀ぃ……」


あたしは力無く、晴稀の名前を呼んだ。


そのせいで益々孤独を感じてしまって、またしゃくり上げて泣き出した。


もう、このまま消えてしまいたい……


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