Winter bell
「すみません、次からは気をつけます……」


心の中で悪態をつきながらも、先輩に頭を下げた。


「何それ!?『気をつけます』じゃないやん!アンタみたいな子がいるから、派遣がバカにされるんやからねっ!!」


自分達の事は棚に上げて、随分な言い方だと思う。


「すみません……。あの、お茶の用意出来たんで、持って行きますから……」


それでも先輩の言葉をスルーして、あたしは作り笑顔を向けた。


そして用意したお茶をトレーに乗せて、給湯室を出た。


「はぁ……」


その直後、思わず大きなため息を零してしまった。


ため息と一緒に、苛立ちも吐き出せたらイイのに……


そんなつまらない事を考えながら、何とか午前中の仕事を終えた。


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