君に捧ぐ‥
始まり…そして終わり。

シアワセナトキ




あたしたちは、キスをした後なんだか気まずくなって、何も話さず帰った。



でも、車で家まで送っていってくれた。




「…あ、そこ右……」


「ん。」


会話といえば、これくらい。

それでも、なんだか心地よかった




「ここ…送ってくれて、ありがと。」



離れたくない。
もうちょっと一緒にいたいよ…


そう言いたかったけど、恥ずかしいし、面倒な女だと思われたくなかったから、我慢した。




「じゃあね。」


そう言って、家に帰ろうとすると、腕を捕まれた。




「えっ……?」



「……あのさ、雛って…呼んでも、いいか?」




ドキン…



恥ずかしそうに。
でも、不安げな表情で凪ちゃんは言った。




「うん、いいよ…」


「ありがと。じゃあまた明日、雛。」



にこっと笑い、凪ちゃんはあたしの手にキスをした。



「……っ……」



あたしは、車が見えなくなるまで凪ちゃんを見送った。










.
< 121 / 179 >

この作品をシェア

pagetop