君に捧ぐ‥



ガラ…



沙帆さんが、病室から出てきた。


あたしは、隠れることもせず、ただそこに立っていた。




「えっ、雛ちゃん……!」


焦ったような顔をする沙帆さん。



「え!?」


驚いたような声を出す凪ちゃん。




「あ、あのねっ…これはその…」



浮気がバレたときのようなセリフを口にする沙帆さん。


気まずそうに俯く凪ちゃん。




そのなにもかもが、他人事のようにしか見えない。



今のあたしの感情は、無……




何も感じない。



どうしてあんなに凪ちゃんが好きだったのかわからなくなった。





「凪ちゃん……別れよ。」



あたしは、無表情でそう言い、その場を去った。










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