夢〜明日への奇跡〜(実話)

〜最終話〜 永遠の花

夢花の心音も正常に戻り
いつでも夢花のそばにいることができるようになった。やっと母乳も出るようになり 退院を明日に控えていた。

早く早く和実に 夢花を見せてあげたかった。


『お母さん…私を生んだ時どんな気持ちだった』


『えっ…何よいきなり…あんたは顔が異常に長くて毛深くてお父さんったら何度も何度も看護師さんに大丈夫なんですか?って聞いてたのよ。お猿さんみたいだったもんね(笑)』


『お猿さんか…笑えるね』

『でも…寝顔見ているだけで、あんなに生む時痛い思いしたのに忘れちゃうんだよね…』


『あ…そういえば私も夢花を生んだ時の痛み覚えてない…初めて母乳出した時の痛みしか思い出せないよ』

『きっと頑張ったママに赤ちゃんが魔法をかけるのね女にしか体験できない特権ね』


夢花の寝顔を見ながら
お母さんと色んな話をした。

夕日が温かくウトウトしようとした
その時だった。


また私にあの分娩室で見たキラキラ輝く光が見えた。

何………夢……?。


あの時と同じだ。


そして確かに聞こえた。


【れな…ゆか…愛してるよ】

和実の声だった。

優しい和実の声。

きっと明日まで待てなくて 早く逢いたいって思っているんだろうな…。

ドンドン…
慌ただしいドアのノックの音がした。

その瞬間 パッと光が消えた。


『中島さん!!大変です。旦那さんの容態が急変されたそうです』





『嘘よ…!!!
明日退院なのに』


夢花と三人でずっと一緒にいれるって思ってたのに…

さっきの和実の声は
お別れに来たの?

いやーーーーーーっ!!

私は泣き叫んだ!

それにつられ夢花も
泣いた。


じいちゃん…


お願いします。

和実に夢花を会わせてください。


誰よりも頑張って生きて

夢花の誕生を楽しみにしていたんです。


今度ばかりは叶えてください。


じーちゃん 和実をそっちに連れていかないでね。


私は和実の病院に着くまでひたすら祈った。
< 116 / 122 >

この作品をシェア

pagetop