レンズ越しの君へ
家に着いてすぐに、改めて廉にお礼を言った。


「本当にありがとう!」


廉はベッドに腰掛けたあたしを見ながら、ゆっくりと口を開いた。


「……黙ってて悪かったな」


あたしは、首を大きく横に振った。


浮気をしているかもしれないと、一度でも廉を疑ってしまった自分がすごく情けない。


「浮気じゃなくて良かった♪」


明るく言ったあたしを、彼が怪訝な表情で見た。


「浮気って何だよ?」


「廉の行動がおかしいから浮気かと思って、ずっと心配してたの……」


小さな声で言いながら自嘲気味に笑うと、廉はあたしを押し倒した。


「なっ、何っ!?」


驚いているあたしを見下ろしている彼が、意地悪な笑みを浮かべた。


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