姫取物語
第拾玖夜
「帝! 都、行こう!!」

「……は?」

「みーやーこー! 行こ?!」

「何で?」

もしかして俺のものになってくれる。とか?

「帝の住んでる町でしょ?! 美麗がね、すっごい賑やかだって言ってたから、行こ!!」

そんな理由か……てっきり入内してくれるのかと。

「この前外に出て風邪ひいたばっかでしょ?」

「美人薄命」ということわざはまさにかぐやのために作られたのだろうか……?

「帝がいれば大丈夫だもんっ!」

待て待て待て待て……。

「そんな根拠、通じません」

ちょっと嬉しいけどね。

「連れてってー! 暇なのー! 知らない人の相手は嫌なのー!」

「駄目ったら駄目」
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