姫取物語
第弐拾夜
「お久しぶりですね」

「お久しぶりです、石作りの皇子殿」

目の前には錦の袋に入れてある鉢……かな? これが天竺にあると言われる「仏の御石の鉢」?

「帝……」

「ん?」

「この人のことは俺に任せて……?」

「え……? でも……」

「大丈夫。俺の声は女の子みたいなんでしょ……?」

「そうだけど……」

ついでに容姿も女の子だけど。

「ね? ……だから大丈夫」

「本当に大丈夫?」

あれほどまでに知らない人と話すのを拒んでいたのに……?

「うん。任せて」

「そう……じゃぁ、行っておいで?」

「うん」
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