Strawberry & Chocolate
No.39 桜月 苺~小梅side

「…わー。こりゃリナそっくりだ。結構かわいいな」



「ソラ、それってあたしもかわいいってこと?」



「えっ!?あー…うん」



「何よその間ーっ!!」



「しっかしホント似てんな…。これが他人の空似ってやつか?これが髪長くしてリナをおしとやかにしたバージョンか…」



「柳人!!それってあたしが普段落ち着きないって言いたいの!?」



「そりゃそうだろ」



「もう!!みんなが騒ぐほど似てるわけでもないじゃん!!胸はあたしの方が大きいし!!」



「何であなたはいつも胸の大きさを比べるんですか…」



「お、こっちにこの人の小さい頃の写真もあるぜ」



「どれですか?楓くん」



「ほらこれ」



「うわ!!超似てるー!!これは絶対リナだって!!」



「確かに小さい頃はそっくりですね!!」



「ちょっと、小梅ソラ。あんたたち何でそんなテンションあがってんの?言っとくけどそれあたしじゃないんだからね!」



「それはわかってますが…」






あれ?



そう言えばこのリナそっくりさんの名前って…。








「桜月 苺(オウヅキ イチゴ)。この街と同じ名前だな」







桜月 苺…って、もしかして…。






「それってあの絵本の?」



「絵本ってなんだよソラ」



「え?柳人知らねーの?」



「知るかよ。お前みてーに絵本なんざ読む趣味はねぇ」



「いや、だって子どもん時…って、そうだ。柳人転校してきたんだもんな」



「俺も知らねーぞ」







柳人も楓くんも知らない。




それは、その絵本は、この地域で語り継がれている物語だから。

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